亀井宏紀(かめいひろき)行政書士事務所

2020/07/03

外国人と国民年金

行政書士の、亀井宏紀(かめいひろき)です。

外国人が旅行などの短期滞在でなく、就労や留学など日本で長期間生活する場合には、日本の社会保障制度との関係も重要になってきます。
国民年金も、重要なものの一つです。
外国によっては、国独自の年金制度のようなものがある所も多いので、外国人が「自分の国で入っているので、関係ない」と思われる場合もあるかと思います。

しかし、日本の国民年金の制度は、国民年金法にて定められており、加入者については、第7条で定められています。せっかくなので、見てみると
『(被保険者の資格)
第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者を除く。以下「第一号被保険者」という。)

二 厚生年金保険の被保険者(以下「第二号被保険者」という。)

三 第二号被保険者の配偶者であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)』

となっています。

ここでのポイントは、「日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者」は、原則、国民年金に加入しなくてはいけないということで、「国籍」は、要件になっていないということです。

つまり、日本に住んでいるなら、国籍は問わないということです。
よって、日本に住んでいる以上、国民年金に加入しないといけません。

「今は、仕事で日本にいるけど、あと何年かしたら、母国に帰るので、払いたくない」という外国人もいるかと思います。数年で、母国に帰るような場合には、「脱退一時金」という制度が用意されています。

「日本国籍を有しない者が、国民年金、又は厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができる」、という制度です。

詳細についての解説は控えますが、おおまかにいえば、払った国民年金が戻ってくるということです。
もっとも、今の制度では、すでに10年以上、国民年金を払っていたような場合は、脱退一時金は請求できず、日本で国民年金を受給するということになります。

国民年金や、日本の社会保障制度が外国人との関係で重要になってくるのは、永住資格や帰化の申請を行う場合です。
永住資格や帰化の申請が認められるための要件は、たくさんありますが、その要件の中の重要なものに、「国益要件」というものがあります。
これは、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることが必要ということで、
「罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。」があげられています。

つまり、納税義務等公的義務を履行していること、言い換えれば、国民年金もちゃんと払っていることが必要ということになります。

よって、今後、日本に永住を検討されているような場合は、納税義務等公的義務である、国民年金を払っておかないといけないということになります。

お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

事務所へのお問い合わせ