亀井宏紀(かめいひろき)行政書士事務所

2020/07/11

再婚禁止期間と在留資格

行政書士の、亀井宏紀(かめいひろき)です。

日本の民法には、「再婚禁止期間」というものが規定されています。
女性は、前婚の解消から、100日間経過しないと、新たに結婚ができないという制度です。

平成28年に民法から改正され、100日間と短くなったのですが、それ以前は、6ヶ月(およそ180日間)と規定されていました。
法の趣旨としては、女性が「再婚禁止期間」なく結婚してしまうと、生まれた子供が、前婚の夫との間の子供なのか、今の夫との間の子供なのかが、わからないので、この制度が制定されたというものです。

民法自体、明治時代に制定されたものなので、当時としては、このような期間を設けることにも合理性があったのでしょう。
でも、今は、令和の時代です。他の手段で(例えばDNA検査など)、出生した子供が、誰の子供なのかは、確認することができます。
男性は、再婚禁止期間などないのに、女性だけ設けられているのは、おかしい、というようなことから、最高裁判所の判決がくだされ、民法が改正されたという、経緯です。それでも、再婚禁止期間はまだ100日あります。

ここで、在留資格との関係を見ていきます。

外国人女性が、日本人の夫と結婚し、「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留していたが、離婚してしまった場合です。

この外国人女性が、引き続き、日本に在留する場合、複数の在留資格を取得できる可能性がありますが、離婚後、また別の日本人男性との結婚を考えている場合を想定します。
日本人と結婚すれば、引き続き、「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留することができます。

もっとも、ここで問題となってくるのが、「再婚禁止期間」です。

外国人も、日本人と結婚する場合、日本の民法適用がありますので、当然、再婚禁止期間の対象です。
外国人女性は、すでに離婚しているので、以前の夫との関係での「日本人の配偶者等」での在留はできません。

そして「再婚禁止期間」の関係で、100日間は、結婚ができません。
日本に引き続き、在留したい場合の選択肢が、いろいろあります。
場合分けが多く出てきますが、確認してみたいと思います。

まず、この「再婚禁止期間」自体をないことにできる場合があります。
実は、再婚禁止期間を規定している民法733条には2項があり、中身をみると、

「前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合」

とあります。つまり、生まれてくる子供がいなかったり、すでに生まれて、出生がはっきりしているような場合は、再婚禁止期間の適用はありません。
法務省のホームページにも、婚姻届のことについて
「 前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過していない女性を当事者とする婚姻の届出について,上記の「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」が添付され,「女性が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合」又は「女性が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合」に該当すると認められた場合には,その他の婚姻要件を具備している限り,その届出は受理され,婚姻することが可能となります。 」

と、ちゃんと、記載されています。
よって、まずはこの方法でクリアできるかを検討します。

次に、この方法では、クリアできない場合です。
「日本人の配偶者等」の身分関係の在留資格でなく、就労や留学の在留資格を取得する方法です。
これらの要件に該当することができれば、在留資格の変更を行って、日本に在留するということは可能です。

もっとも、100日経過後に、再度「日本人の配偶者等」での在留を希望するのであれば、これらは大変手間のかかることでもあります。

そこで、日本に引き続き在留したい、一旦、母国に帰国するという選択肢を取りたくないような場合は、在留資格「短期滞在」への変更を申請することができます。

短期滞在できる期間は、最長90日です。そしてこの在留資格は、延長を申請することができます。
そうすると、合計180日の期間、日本に在留できることになるので、この間に再度、「日本人の配偶者等」の申請を行えるようになります。

在留資格は、いろいろな要素が、複雑にからみあっているので、専門家への相談が、本当に必要だと思います。

 

 

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