亀井宏紀(かめいひろき)行政書士事務所

2020/07/23

日本への再入国について

行政書士の、亀井宏紀(かめいひろき)です。

今回は、日本への再入国(在留資格を有する外国人が、日本から海外へ出国し、また日本に戻ってくること)について、まとめてみたいと思います、

まず、原則として、在留資格というものは、日本国が、当該外国人について、日本に在留することを許可した資格ですので、
日本から出国すると、その在留資格はなくなってしまいます。

となれば、日本に再度、入国する場合は、また在留資格をあらたに取得する必要があります。
観光などの短期の在留資格(ビザ)なら、特に問題はないと思いますが、仕事や、身分関係の在留資格を有する外国人は
日本で生活の本拠があるのですから、その都度、在留資格の手続きを行うとなると、かなり面倒なことになります。

そこで、「再入国許可」の制度というものがあります。
簡単に言えば、日本を出国する前に、再入国許可の手続きをしておくと、日本から出国したとしても再度、在留資格の申請手続きしなくても、入国でき、もともと有していた在留資格の効果も引き継がれるというものです。

そして、この再入国許可には、2種類ありますので、用途によって使い分けができます。
1つは、そのままですが、「再入国許可」、もう一つは、「みなし再入国許可」です。
まずは、「再入国許可」ですが、入国管理法の26条に規定されています、せっかくなので、1項だけ見てみると

『第二十六条 法務大臣は、本邦に在留する外国人(仮上陸の許可を受けている者及び第十四条から第十八条までに規定する上陸の許可を受けている者を除く。)がその在留期間(在留期間の定めのない者にあつては、本邦に在留し得る期間)の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基づき、再入国の許可を与えることができる。この場合において、法務大臣は、その者の申請に基づき、相当と認めるときは、当該許可を数次再入国の許可とすることができる。』

とあります。

「再入国許可」の方の手続きですが、こちらは出入国在留管理庁に直接出向いて手続きをします。

原則として外国人本人が行きますが、申請取次の承認を受けている行政書士でもOKです。

持参物としては、①再入国許可申請書 ②当該外国人の在留カード ③パスポートとなります。

また、再入国許可には、1回限り有効のものと有効期間内であれば何回も使用できる数次有効のものの2種類があり、手数料は、3000円と6000円になります。

再入国の有効期間は、現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。

簡単な手続きで終わるので、許可は、申請したその日にもらえます。

次に、「みなし再入国許可」です。

こちらは、なんと、出入国在留管理庁に出向く必要はありません。
当該外国人が、出国する時に、空港などの出国する場所で、出国の審査時に行います。そして、ありがたいことに、手数料は無料です。

手続きの方法としては、空港で、出国審査の前に「再入国出国記録(再入国EDカード)」をもらいます。
カードの中の、「 □ みなし再入国による出国を希望します。」の所にチェックを入れます。

そして、出国審査のときに審査官に、パスポートといっしょに再入国出国記録のカードを渡し、
「私は、みなし再入国を希望します!」ということを、しっかりと伝えます。

実は、この、審査官に伝えるというのが非常に重要です。チェックしたカードを出すだけではだめです。なぜかというと、法律の条文に書かれているからです。
入管法の26条の2なのですが、記載の所を見ると

『入国審査官に対し、再び入国する意図を表明して出国するときは、前条第一項の規定にかかわらず、同項の再入国の許可を受けたものとみなす。』

となっていますので、しっかりと、『意図を表明して出国』してください。あと、あたりまえですが、パスポートと在留カードも、もっていってください。

最後に、注意点ですが、みなし再入国許可の制度は、手続きも簡易な便利な制度ですが、有効期間は、1年です。
この間に日本に戻ってこないと、日本で有していた在留資格は、なくなってしまいます。

普通の再入国許可を申請していた場合は、やむをえない場合に、有効期間の延長ができますが、みなし再入国許可は、延長ができません。病気になろうが、どんな事情があれ、考慮されません。

よって、1年以内に再入国できない可能性が少しでもあるのなら、しっかり、普通の再入国許可を申請することをおすすめします。

お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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