亀井宏紀(かめいひろき)行政書士事務所

2022/07/12

パスポート、在留カードの携帯義務

行政書士の亀井宏紀(かめいひろき)です。
 
日本に中長期間滞在する外国人には、上陸許可や在留資格の変更許可などに伴って、在留カードが交付されます。
在留カードは、当該外国人が中長期間、日本に滞在する資格を有することを証明するものなので、
当該外国人が日本から出国する場合(再入国許可による出国を除く)や中長期在留者でなくなったとき、死亡したときには在留カードを返納しなければなりません。
そして、この在留カード及びパスポートについては、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」とする)23条に記載があります。在留カード及びパスポーの携帯義務について、記載されています。
条文を参照してみると、
 
『入管法 第23条(旅券等の携帯及び提示)
 
1項 本邦に在留する外国人は、常に旅券(次の各号(省略)に掲げる者にあっては、当該各号に定める文書)を
携帯していなければならない。ただし、次項の規定により在留カードを携帯する場合は、この限りでない。
 
2項 中長期在留者は、出入国在留管理庁長官が交付し、又は市町村の長が返還する在留カードを受領し、
常にこれを携帯していなければならない。
 
3項 前二項の外国人は、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める
国又は地方公共団体の職員が、その職務の執行に当たり、これらの規定に規定する旅券、乗員手帳、特定登録者カード、許可書又は在留カードの提示を求めたときは、これを提示しなければならない。
4項以降省略』
 
となっています。
 
日本に滞在する外国人は、一部の例外を除き、入管法で定める何らかの許可を受けていなければ日本に上陸又は在留することができず、活動が在留資格により制限を受けるなどしています。そのため、当該外国人について、在留の合法性、資格外活動の可否、上陸・在留の許可に付された条件に違反していないかを即時的に把握するために、上記のような規定が定められています。
そして、これに違反した場合は、刑事罰(入管法第75条の2、75条の3、76条)が課せられます。
 
ここで、在留資格の各種申請において、パスポート及び在留カードは窓口にて提示する必要がある書類であるため、行政書士が申請人に代わって手続きをする場合は、申請人のパスポートと在留カードを一時的に預かることがあります。
このとき、入管法23条の携帯義務に違反しているのではないか、と懸念されるかもしれませんが、この場合には違反になりません。
行政書士が、申請人に変わって、出入国在留管理局に申請を行う制度を「申請取次」といいます。
これは、出入国在留管理局からも認められている制度です。この申請取次が行える行政書士は、研修を受け、管轄する出入国在留管理局より「届出済証明書」が交付されています。
このように、出入国在留管理局から制度として認められている者が、正式な業務として在留カードを預かりますので、入管
法23条違反とはなりません。
もっとも、パスポート及び在留カードを行政書士に預けている間は、行政書士から「預かり証」が発行されるので、在留カードの代わりに、これを携帯するようにしてください。

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