亀井宏紀(かめいひろき)行政書士事務所

2022/08/17

「法定相続情報証明制度」について

行政書士の亀井宏紀(かめいひろき)です。
 
私の事務所では、ほぼ、外国人関係の仕事をしているのですが、外国人の方にも、当然、家族がいて、相続というものが日常的に発生します。
そして、私がビザの関係の仕事の依頼を頂いた、外国人関係のお客様にとって、私が行政書士ということは、わかっていますので、「相続の手続きも、お願いできますか?」と、ご相談を受けます。
 
ここで、相続の手続きを行う上で、煩雑なのが、戸籍関係の証明です。
相続手続きでは、お亡くなりになった方(被相続人)と、
お亡くなりになった方の財産を引き継ぐ方(相続人)
との関係を、戸籍を用いて、誰が、被相続人の相続人であるのかを証明していく作業が
あります。
 
例えば、被相続人が、いくつもの銀行に預金をもっていたような場合には、その銀行ごとに、戸籍を用いて、誰が、被相続人の相続人であるのかを証明していく必要があります。
そして戸籍を読む作業というのは、大変時間がかかります。
 
このようなことが背景として、「法定相続情報証明制度」というものが、平成29年5月にスタートしました。
 
これは、全国の登記所(法務局)で利用することができるもので、この制度を利用すると各種相続手続きで戸籍書類一式を何度も出し直す必要がなくなります。
相続がいくつもある場合、手続きが同時に進められて、時間の短縮にもなります。
 
法定相続情報証明制度を利用するための手続きの流れは、次の通りです。
 
1. 必要書類の収集
2. 法定相続情報一覧の作成
3. 申出書の記入、登記所(法務局)への申出
 
それと、手続きを進める前に確認することが何点かあります。
本制度を利用できる方(申出人)は、お亡くなりになられた方の相続人です。
相続人の範囲は民法(明治29年法律第89号)の通りです。
 
・常に相続人:配偶者
・第一順位:子、孫・ひ孫等(子が死亡しているとき)
・第二順位:父母、祖父母(父母が既に死亡しているとき)
・第三順位:兄弟姉妹、甥・姪(兄弟姉妹が既に死亡しているとき)
手続きを取る時間がない時は、申出人からの委任によって親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士に依頼することができます。
 
亡くなられた方や相続人が日本国籍を持っていないなど、戸除籍謄抄本を提出できない場合は利用することができません。
 
それでは、具体的な手続きの方法について説明します。
 
 まずは、上記の相続範囲で法定相続人を一覧にした図を作成します。図は、A4サイズの白紙に記載するようになっています。様式は法務局のホームページに様式・記載例が掲載されています。そして以下の書類をもとに、一覧図を作成していきます。
必ず必要な書類は、
 
・亡くなられた方の戸除籍謄本(出生から亡くなられるまでのもの)
 ・亡くなられた方の住民票の除票
 ・相続人全員の戸籍謄抄本(現在)
 ・申出人の氏名・住所を確認することができる公的書類
 
必要となる場合がある書類は、
 
 ・各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
 ・委任による代理人が申出の手続をする場合は、委任状、
  申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本(親族が代理する場合)、
  資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等(資格者代理人が代理する場合)
 ・被相続人の戸籍の附票(住民票の除票が取れない場合)
 
作成の留意点として、続柄の記載の仕方、亡くなられた方の最後の本籍地や相続人の住所の記載は、任意です。
相続放棄をした相続人も記載することや推定相続人が排除された場合は記載しません。
 
次に申出書を記入して、必要書類と作成した法定相続情報一覧図と合わせて登記所(法務局)へ申出をします。
申出書は、法務局のホームページに掲載されています。
申出をする登記所(法務局)は、
 
・亡くなられた方の本籍地
・亡くなられた方の最後の住所地
・申出人の住所地
・亡くなられた方名義の不動産の所在地
 
の中から選択できます。
 
申出後は、登記官が提出書類の不足や誤りがないことを確認します。
問題がなければ、登記官の認証印が押された、法定相続情報一覧図を交付してもらえます。
 
ちなみ、法定相続情報一覧図の発行に際して、登記所(法務局)に支払う手数料は、無料です。
 
 

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