亀井宏紀(かめいひろき)行政書士事務所

2023/09/16

特定技能に「自動車運送業」の追加を検討

行政書士の亀井宏紀(かめいひろき)です。

 現在、日本では介護分野や農業分野など人材不足となっている業種について、「特定技能」という在留資格を設けて、外国から専門の技術を持っている人材を受け入れています。
これに関して、近年新たに注目されているのが、自動車運送業です。インターネット販売の普及やコロナ禍の影響で、インターネット上で商品を購入する人が増えたことにより、商品輸送のためのトラック運転手の不足や長時間労働が問題となっています。また、タクシー業界は運転手の平均年齢が50代後半と高齢層が主力になっているので、退職による人材不足の問題も出てきます。

このような現状から、全日本トラック協会、日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会の3団体は、それぞれ今春に策定した23年度事業計画で、特定技能の対象にドライバーを追加するよう求める方針を明記しました。

これを受けて国土交通省は、在留資格「特定技能」の対象に「自動車運送業」を今年度内に追加する方向で検討に入りました。そして、不足している人手の規模や今後5年間の外国人受け入れ見込み数の把握、荷物の積み下ろしや乗客との意思疎通など、業種に合わせた運転手としての技能試験の整備を進めることとしました。

外国人労働者を活用することで、自動車運送業での人手不足の改善を目指すうえでは、課題もあります。
ドライバーとして働くには日本の運転免許が必要ですが、とくに客を乗せるバスとタクシーでは第2種免許の取得が必須となります。第2種免許は、運転経験や年齢での制限があり、また、試験は日本語のみでおこなわれるため、外国人にはハードルが高いと思われます。言葉の壁を抱える外国人が第2種免許の試験を受ける場合にどう支援するのか、受け入れ企業側の協力も視野に入れながらの検討が必要となってきます。また、慣れない日本で運転をする外国人ドライバーが安心・安全な自動車運転ができるよう、研修の仕組みを設けるなどといった制度設計も課題となります。

創設から対象分野が広がっている在留資格「特定技能」において、自動車運送業はどのように制度設計されるのか、今後注目したいと思います。

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