亀井宏紀(かめいひろき)行政書士事務所

2023/09/21

特定技能2号の対象分野の追加

行政書士の亀井宏紀(かめいひろき)です。

令和5年6月9日、閣議決定により、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(分野別運用方針)の変更がおこなわれました。
熟練した技能を要する特定技能2号については、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、建設分野及び造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていましたが、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てを新たに特定技能2号の対象とすることとしました。
これにより、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野以外の全ての特定産業分野において、特定技能2号の受入れが可能となります。

今回、このような大幅な対象分野の追加がおこなわれるに至ったのはなぜか、特定技能制度の意義にも立ち戻って考えたいと思います。
在留資格「特定技能」は、中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていくために構築されたものです。
特定技能には1号と2号があり、1号は技能水準として相当程度の知識又は経験を必要とする技能であるのに対し、2号は熟練した技能が必要となります。
在留期間も1号は通算で5年が上限なのに対して、2号は更新すれば期間の上限はありません。また、2号では家族を帯同させることもできます。
これまで、特定技能2号については、建設分野及び造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象でした。しかし、今回の変更で介護分野以外のすべての特定産業分野が特定技能2号の対象となりました。先ほども説明したように、特定技能2号の外国人には、熟練した技能が求められます。これは、長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい、例えば自らの判断によって高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいいます。
このような技能を有する外国人は即戦力となります。そして、深刻となっている人材不足の解消にもつながります。しかし、一時的に人材不足が解消されても、特定技能で来日した外国人が在留期間の上限に達し、帰国したのでは問題の根本的な解決にはなりません。この点、特定技能2号は、在留期間の上限がなく、家族を帯同させることもできるというメリットがあるので、特定技能2号での来日希望者が増えることが考えられます。
特定技能制度は、特定産業分野での深刻な人材不足を解決したいという日本と自身の技能を用いて日本で働きたいという外国人のお互いにとって有益な面があると言えます。

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