行政書士とみの法務事務所

2024/01/18

【のうてんコラム第四弾】 どうする!?のうてん 農地の売買と転用を同時にしたいとき

こんにちは。
行政書士とみの法務事務所
行政書士の乗越です。

今回も連載企画「どうする!?のうてん」第四弾やっていきます。
今回のテーマは「どうする!?のうてん 農地の売買と転用を同時にしたいとき」です。
どうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

【売買と転用を同時にしたいときどうする?】
さて、今回のテーマ設定ちょっとわかりづらいので、このようなケースで考えてみます。

「農業を営むAさんは、色々あって田んぼを手放し農業を引退したいと考えています。そこで町の不動産屋さんに相談したところ安く土地を手に入れて家を建てたいBさんを紹介してもらった。」

このようなシナリオで検討してみましょう。

先ほどのシナリオには2つの農地法にかかわる要素が存在しています。
要素①田んぼの権利がA→Bへ移動
要素②田んぼを転用して家を建てようとしている

はたして今回のケースはいままで紹介した手続きで解決できるでしょうか?

【農地法第3条許可からアプローチした場合】
まず第三弾のコラムでご紹介した農地法第3条の許可でアプローチをしてみます。
この手続きの対象は「田んぼや畑を使い道を変えずにそのまま譲り渡すとき」でしたよね。
今回のケースだとどうでしょうか。BさんはAさんから田んぼを譲ってもらった後に家を建てようとしています。
この場合、農地のままの取引とは言い難いです。
したがって農地法第3条からのアプローチは難しいようです。

【農地法第4条許可からのアプローチ】
実はまだご紹介していませんが農地法には第4条許可といって「自分の田んぼや畑の使い道を変えるだけ(権利は動かない)」の手続きがあります。
今回のケースは持ち主(Aさん)が転用するのではなく、他の人(Bさん)に田んぼの権利が移動してしまうので自分の田んぼや畑を転用するとは言い難いですよね。
したがって第4条許可でもアプローチはできないようです。

【手は尽くした…どうする!?】
第3条許可、第4条許可のいずれの手続きでも今回のケースを解決できないようです。
皆さんならどのようにして解決しますか?

【農地法第5条許可という手続き】
農地法には今回のようなケースを解決する手続きとして「第5条許可」が用意されています。

この手続きは田んぼや畑の売買と田んぼや畑の使い道を変える転用の許可を同時にもらう手続きです。

つまりこの手続きによって田んぼや畑を譲ってもらい家を建てたい人に田んぼや畑を売買することもできるし、譲ってもらった後に田んぼや畑を他の使い道で使うことができるのです。

【おわりに】
今回は農地法第5条許可についてご紹介しました。
売買と転用を同時に行うことができる農地法第5条許可は農転の花形ともいえるかと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。


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